ポール・アルテ 「狂人の部屋」 (ハヤカワミステリ)

あかずの間となっていた部屋で再び発生した怪死事件。水で濡れた絨毯は何を意味するのか!?
 アルテの邦訳六作目にして《ツイスト博士》シリーズの一冊。
封印されていた部屋。的中してしまう予言。錯綜する男女関係…。
なるほど、これは確かにツイスト博士ではなくフェル博士がのっそりと出てきても何の違和感も無さそうなカー風味。
読み手をあっと言わせる展開の数々──墓あばきのシーンが白眉──の果て、一体何がどうなっているのか今ひとつ判然としなかった事件が読み解かれていく。
あの場面、あの台詞、あの人物のあの行動にはそんな裏があったのかー。嗚呼、素晴らしき本格ミステリ
わりと無茶なトリックもあったりするのだけど、それもまたカー好きには魅力の一つ。