中村九郎 「樹海人魚」 (ガガガ文庫)

不老不死の研究から生み出されてしまった怪物──《人魚》と《楽団》との戦いの中、落ちこぼれの《調律師》ミツオは《歌い手》真名川霙と出会う。
 逆転重力、絶対零度、過不眠死、遅延時空、etc... 次々出てくる異能の力。
恐るべき人魚。真名川霙の秘めた謎。ミツオと菜々と由希、3人の……絆のようなもの。
これまでの作品同様、何でそうなるんだ!という驚き(戸惑い)に事欠かないお話であるのに、不思議と面白く読めてしまうのは題材と作者のセンスとの相性の良さなのか。
キャラ立ては随分とうまくなったなあ。
真名川霙の軍人口調はかわいらしいし、ツンデレさんなバービーもまた愛し。
箱庭じみた世界の中で繰り広げられる戦いのゲームの中、不意に訪れる”寂しさ”と”せつなさ”が胸を打つ。
《歌い手》と《指揮者》が赤い糸でつながっているという設定が実に中村九郎らしくて微笑ましい。


感想:「ロクメンダイス、」「黒白キューピッド」「アリフレロ」

樹海人魚 (ガガガ文庫)

樹海人魚 (ガガガ文庫)