古橋秀之 「冬の巨人」 (徳間デュアル文庫)

酷寒の雪原を歩む巨人(ミール)。その背に作られた都市に住まう人たち。研究者の助手として働く少年は、空の上で少女と出会う…。

古橋作品はこれが初読み。
冬に閉ざされた街と老いつつある巨人の上で繰り広げられる終わりと再生の物語。
主人公の少年オーリャの眼を通して語られる世界の在り様とそこに生きる人々の姿。想像力をおおいにかき立てる世界観が何より魅力。
そして、巨人の歩みの果てに訪れるラストシーンのなんと鮮やかで感動的なことよ…。
話をコンパクトにまとめ過ぎてる感が若干あって、この倍の分量があれば作品の深みもさらにましたような……なんて思う部分はなくもないんだけど、
年間ベスト候補としてあげておくにふさわしい佳作であることは確か。

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)