とみなが貴和 「EDGE 5 ロスト・チルドレン」(X文庫ホワイトハート)

連続少女誘拐事件に巻き込まれる形となった錬摩。彼女を惑わせるメッセージの送り主は…。シリーズ完結編。
 2巻の頃から裏で進行していた事件、藤崎を喪った5年前の悲劇、そして錬摩を縛り付ける過去の亡霊──父との血塗られた逃避行。
断片的に語られていたそれらが絡み合い血と狂気の因縁がたちあらわれてくる様にゾクゾクさせられる。
周囲への頑なで冷徹な態度とは裏腹の犯人たちへ向ける優しさと共感。宗一郎との関係に惑う心。シリーズを通して描かれていった”大滝錬摩”の魂の軌跡。
しっとりとしたラストもよござんした。
それにしても4巻から5巻の刊行まで2年も空いたのか。
わたしゃあのラストに辛抱たまらず3日と空けずに続きを読み始めたというのに、リアルタイムで追いかけてた読者さんは相当もどかしかったでしょうなあ。


まとめ。少女小説レーベルにもこんな硬派なサスペンスがあったんだ、一般向けに新装版が出るのも納得──の作品でありました。
この作者なら青い背でフランス装の某ミステリレーベルに進出しても驚かないな。
ベストは2巻「三月の誘拐者」。


シリーズ感想:「黄昏の爆弾魔」
「三月の誘拐者」
「毒の夏」
「檻のない虜囚」

EDGE5 ロスト・チルドレン (講談社X文庫 ホワイトハート)

EDGE5 ロスト・チルドレン (講談社X文庫 ホワイトハート)