海冬レイジ 「かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリスI」 (富士見ミステリー文庫)

修道院に集った者たちの前に現れた謎の少女。
大罪を犯した咎人にアダムの烙印を押し煉獄へと送る──教誨師グリモアリス)に裁かれるのは誰なのか…。
 おお、これはとても面白い。
異界の力を操るヒロイン・アコニットの悪魔的な態度とゴスロリと揺れ動く心に萌えるもよし。
誓護くんのシスコンっぷりと妹・いのりの愛らしさにニヤニヤするもよし。
修道院に閉じ込められた者それぞれが抱える秘密が重層をなすミステリ仕立てのプロットに感心するもよし。
刺しつ刺されつの緊迫感あふれる展開に息を呑むもよし。
キャラクターの魅力といくつもの謎を孕んだ物語を読み進める楽しさ、その双方が味わえる佳作に仕上がっている。
作者の前シリーズ「バクト!」が合わなかった人にもこれは是非試していただきたい。
「麗しのシャーロットに捧ぐ」といい、今作といい、富士ミスまだまだ《ラノベ・ミステリ》いけるよ!