とみなが貴和 「EDGE 2 三月の誘拐者」(X文庫ホワイトハート)

自らの心の奥底に眠る闇──他者へ向かう理由のない悪意に脅える青年。無理解な周囲と無力な自分に怒りをつのらせる少女。
出会ってしまった2人は手をとり歩み始める…。
 連続する幼女失踪事件との関連を疑われ、誘拐犯と被害者として警察に追われることになった青年と少女の物語。
失ってしまった”ゆきちゃん”を探すための歩みが、やがて”おにいちゃん”と共に最後まで行くことにかわっていく。
刹那的で危うい、一つ間違えれば取り返しのつかない悲劇を招いてしまう関係なのに、そこに生まれ育ってしまった細くて頼りない絆が、静かに深く読み手の心にしみいってくる。
逃避行を続ける2人の姿にかつての自分と父親の事件を重ねてしまう錬摩の物語もまた印象深かった。
前作も良かったけれど今回はそれ以上。これマジで傑作かも。知人に薦められたときにさっさと手を出さなかったのを座して反省せねば。


シリーズ感想:「黄昏の爆弾魔」

EDGE(2)?3月の誘惑者? (講談社X文庫ホワイトハート)

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