桜庭一樹 「ブルースカイ」 （ハヤカワ文庫JA）

1627年のドイツ。2022年のシンガポール。2007年の鹿児島。
３つの箱庭と３つの青空、そして少女についての物語。
　魔女狩りの時代を描いた第一部は独立した作品として読みたかったなあと思わせる味わい深い逸品。
第二部は近未来世界における男女関係が興味深い。第三部は桜庭作品らしい語り口のものではあるものの、ちと尺が足りないか。
個々の話はそれぞれに読み所もあって良いんだけど、各編を１つにつなげるための設定がいまいちなため、一長編としてのまとまりが悪い。
これなら無理にSF風に話をつなげたりせず、各時代の”少女”を描いた連作集として構成してくれた方が良かったような…。レーベルのカラーを意識しすぎたのかしら。
魔女狩りの話は長編化を希望したいところ。

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)