桜庭一樹 「荒野の恋 第二部 bump of love」 （ファミ通文庫）

恋愛小説家を父にもつ、山野内荒野。13歳の秋から14歳の夏までの物語…。
取り巻く外界からいろいろなノイズが少女の内に飛び込んできて、無垢なだけではいられなくなってくる。
”少女”から”おとな”へと変わっていくことへの戸惑いと順応。
思春期の少女と（その少女から見た）少年たちを描きながらも、コバルト系のふつうの少女小説とはどこか異質なセカイがそこにある。
桜庭作品ってやっぱり不思議だ…。
坂をのぼった先にある”おうち”を自らの在る場所だと（なんとなくだけど）思う荒野。
旅立って、帰ってきて、また旅立つのであろう悠也。
互いに惹かれあい、似たような空気をまとっていながらも、何となく一緒にはいられなさそうな二人なのだよな。
第一部が「少女七竈」なら、第二部は「赤朽葉家」でありました。第三部はどうなるのでしょう。

荒野の恋 第二部 bump of love (ファミ通文庫)