ディクスン・カー 「アラビアンナイトの殺人」 (創元推理文庫)

消えた怪人物を追って博物館へ捜索にはいったカラザーズ警部が発見したのは馬車に押し込まれた刺殺体。
夜の博物館で一体何が行われていたのか!? 捜査に関わった3人の長い長い語りの果て、フェル博士が見出す真相は…。
このタイトルと表紙のわりに中身はアラビアンナイトとはあまり関係ない罠。
序盤から唐突な展開が相次ぎ、新証言が出てきては事態がくるくる変わっていく様が鮮やか。
中・後期作品に見られるドタバタ騒ぎほどではないものの、イリングワース博士の暴走とか滑稽なシチュエーションもあって、なかなかに楽しい。
ミステリ部分も読み終わってみればなるほどと納得の出来。
ただ、カー長編の中でもとりわけ長めの一品なこともあって、他の秀作と比べて切れ味にはやや劣るかな。

アラビアンナイトの殺人 (創元推理文庫 118-6)

アラビアンナイトの殺人 (創元推理文庫 118-6)