厚木隼 「僕たちのパラドクス -Acacia2279-」 (富士見ミステリー文庫)

時空犯罪者を裁くべく未来からやって来た少女・ハルナは普通の男子高校生アオバと出会う。
存在確率が下がってしまった”ハルナのいた未来”──タイムパラドクスの原因は…?
第6回富士見ヤングミステリー大賞《大賞》受賞作。
あー、こらこら、そこの未来人。君《禁則事項》って知ってる? ふむ、公務員だから多少の禁則破りは許されるんだ。そっかー、そりゃあ、仕方ないよねー♪ な、わけあるか! この軽薄娘!
刀と銃器を振り回す少女が頑張るという、何はともかくヒロインの魅力が最重要課題であるべきこの手の話で、ちっとも萌え魂をくすぐってくれないヒロイン像にずっこける。
背負わされたシリアスな部分も軽薄で浅慮なハルナの態度でかなり台無し。
イラストでなんとか美少女風味だけはカバーしてるけど、こんなことなら未来人型メイドさんが目からビーム出したり、ベタでもいいからツンデレにした方がはるかに良かったんじゃなかろうか…。
タイムパラドクスなストーリー展開は取り立てて可もなく不可もなく。パラドクスの発生した原因に大笑いしてしまったのはわたしだけでしょうか。
まあ、ガーランド指数やら並立して在る未来は互いの存在を認識できるのか等の釈然としない部分もわんさかあるので、小難しいことは横に置いて”なんちゃってSF”活劇な気分でさらっと読み流すのがいいのかも。