尾関修一 「麗しのシャーロットに捧ぐ ヴァーテックテイルズ」 (富士見ミステリー文庫)

とある屋敷を舞台に紡がれる愛と狂気の物語。人形作家である主人に想いを寄せるメイドの少女・シャーロットが見たものは…。
第6回富士見ヤングミステリー大賞《佳作》受賞作。
 ゴシックホラーなストーリーにミステリ仕立ての構成。これまでの富士ミス大賞作品群の中でも一・二を争うといってよい完成度に感嘆。
雰囲気はしっかり出てるし、意外性と悪意に満ちた物語はゴシックホラーとしてもミステリとしてもそれなりに読み応えあり。非常に面白かった。
ある意味では実に富士見ミステリー文庫らしくもあり別の意味では全然らしくない逸品。
山本ケイジ氏のやわらかい絵柄が作品のダークな展開とおもいきりミスマッチなのは正直どうかと思うのだけど、じゃあ誰のイラストをつければいいかというと悩むなあ、うーん……納都花丸
まあ、可愛らしいメイドさんの表紙に騙されて手にとってみるのも一興、一驚。
かの貴婦人もこう言うに違いない。「貴子潤一郎が書かないなら、尾関修一を読めばいいじゃない」と。*1

*1:元ネタはこちら