桜庭一樹 「AD.2015 隔離都市 ロンリネス・ガーディアン」 (ファミ通文庫)

ウイルス流出を防ぐためエアウォールにて閉鎖・隔離されてから10年後の新宿。黒い雨のやまない都市で取り残された人々は…。
第1回ファミ通えんため大賞《佳作》受賞作。2000年刊行。
 若くして死ぬことを決定づけられた大人/若者たちとウイルスへの抗体をもつことが出来た子供たち──ピティフル・チルドレン。
荒廃する人心と悪化した治安。ネットワーク上の仮想《新宿》… SFなのかと思って読んでたら実はミステリ仕立てでもあったという驚きの一品。
育ての親と子供たちの関係が物語の大きなテーマの1つになっているのと、閉塞感漂う舞台設定といったあたりが後の桜庭作品に通じるものがあるような。これより後の作品である「ルナティック・ドリーマー」や「B-EDGE AGE」と比べても地方都市シリーズにより近い位置にあるのがなかなか興味深い。桜庭作品の中では数少ない青年男子の語り手という点も注目に値するのかも。
歳の差カップル萌え小説として読む……にはさすがに無理があるかw