桜庭一樹 「少女七竈と七人の可愛そうな大人」 (角川書店)

いんらんの母から生まれた美しき少女・七竈の恋と旅立ちの物語…。
ヒロインである七竈の一風変わったキャラクタと台詞回しの数々が面白い。
”異形のかんばせ”なる呪われた美貌。周囲からの抑圧にも手折れず、凛とした姿勢を保ち続けようとする健気な心。
淡々とした雰囲気でありながらも、清冽な、切々とした情感のこもった文章で紡がれる七竈の”少女の物語”とその母・優奈をめぐる”女たちの物語”。
なるほど「大人の”少女”小説」とは上手い言い回しをしたものだなあ。
川村家の飼犬の視点で紡がれる二話「犬です」と六話「死んでもゆるせない」がユニークでよござんした。


参考:地方都市シリーズ

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人