山本弘 「死者の村の少女 サーラの冒険Extra」 (富士見ファンタジア文庫)

先ごろシリーズ完結した「サーラの冒険」の番外短編集。
あれ、「奪うことあたわぬ宝」は収録してないのかよー。1冊にまとめて欲しかったのに…。
 「時の果てまでこの歌を」…ザーンの盗賊ギルドの長・ダルシュが幻視する彼の過去と未来──戦い合う黒髪の暗黒司祭と金の髪の戦士──のお話。
なるほど、刊行が中断してる間にこんな作品が発表されてたのか。
歌に誘われよみがえる過去の記憶。愛と憎しみは表裏一体。叙情的な語り口がよござんす。
 「リゼットの冒険」…6巻冒頭のマンティコア退治を村の少女視点で描いたお話。
いやあ恥ずかしい娘だなあ。”女戦士の危機ごっこ”やサーラに押し倒される場面で噴いちゃいましたヨ。作者の掌の上で踊らされまくりな感。
 「死者の村の少女」…5巻ラスト直後のデルを描いたお話。
自らの内にある邪悪さに震えサーラへの想いに涙するデル。魅力的な暗黒ヒロインに育ったものです。
これで山本さんのソードワールド関係のお仕事は見納めなのかなーと思うとちょっと寂しい…かな。