野村美月 「”文学少女”と繋がれた愚者」 (ファミ通文庫)

新入部員獲得のため文化祭にて劇をやることになった文芸部+その他一同。
心葉はともに劇に出演することになったクラスメイト・芥川の抱える苦悩と傷にふれることに…。
文学少女シリーズ3作目。
 誰が悪いというわけでもないのに、すれ違い、人を傷つけ、傷つけられ、次第に軋みはじめる心。
苦しみ続ける芥川くんとそれを目の前に立ちすくむ心葉くんの痛みが胸をうつ。
そんな2人を優しく見守りながら言葉を連ねる遠子先輩。クライマックスの長広舌がしみじみと心にしみるなあ。
それにしても今回の琴吹さん、照れたり、心配したり、泣いてしまったり、こんなにはっきりと感情をあらわにしてるのに不憫よのう。
本当は薄々勘付いているのに、心のどこかで制御をかけて鈍感な人を装っているんじゃないのか、心葉くん。
そしてそして、最後に明かされる芥川くんの秘めた想いと衝撃の事実に戦慄が走る。ああ、そんな…。

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)


シリーズ感想:
「”文学少女”と死にたがりの道化」
「”文学少女”と飢え渇く幽霊」