上遠野浩平 「しずるさんと無言の姫君たち」 (富士見ミステリー文庫)

きょうも病床のしずるさんをお見舞いにいくよーちゃん。本格百合萌えミステリー*1のシリーズ3作目。
今回はメルヘンをモチーフにした連作趣向になっていて、白雪姫・人魚姫・眠り姫・赫夜(かぐや)姫に例えられる4つの奇妙な死の謎が解かれる。
不可思議な状況と解答にいたる思考のアクロバット
モチーフに対しての観念的な掘り下げが真相に迫るためのきっかけになるという構成。
探偵小説してるなあと感心。
よーちゃんとしずるさんのやりとりも、微笑ましいじゃれ合いだけにとどまらず、お互いを強く想い合っていることがじんわりと伝わってくるものになっていて、2人の織り成す空気にしっとりと浸れり。
しずるさんを想って涙するよーちゃんが健気でいじらしい。
しずるさんにとってのよーちゃんは、「SHI-NO」における志乃ちゃんにとっての”僕”と同じなのかも。
あと、チクタのパートだけそのうちまとめて読み直そうかな。




*1:ここでの”本格”は”百合萌え”にかかる