沖田雅 「オオカミさんと七人の仲間たち」 (電撃文庫)

御伽学園学生相互扶助協会、通称《御伽銀行》の面々の活躍を描くシリーズ1作目。
 世界の童話や日本の昔話を下敷きにキャラクタを作って学園コメディに仕立て上げた、作者曰く「第一次スーパー童話大戦」な一品。
一見こわい目つきの武闘派キャラ、実は照れ屋でか弱いところもある女の子な大神さんが可愛いなあ。
そんな親友を愛でるりんご嬢との掛け合いがまた楽し。
テニスの大路(おーじ)さまに恋した灰原さんの純情とガラスの靴。女好き浦島太郎と竜宮乙姫の愛の物語。
ああ、「シンデレラ」と「浦島太郎」がこんなアホな話に…。腎虚なんて単語久しぶりに目にしたよw*1
 もともとストーリーの組み方にちょっと弱いところがある作者なのだけど、
モチーフにしたものを解体し面白おかしく組み立てる作劇法でそのへん上手くカバーされてる感じ。
情けなさ全開だった亮士くんが大神さんへの想いをバネに敵に立ち向かうシーン、最後の台詞にしびれました。
これを言わせたいがための《森の猟師》キャラだったに違いない。

オオカミさんと七人の仲間たち (電撃文庫)

オオカミさんと七人の仲間たち (電撃文庫)




*1:西澤保彦「なつこ、孤島に囚われ」以来かも