あざの耕平 他 「ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン」 (富士見ミステリー文庫)

 書いたことがその通りになってしまう謎の学級日誌(後に「ネコノート」と呼称)をめぐるお話。
富士見ミステリー文庫(およびファンタジア文庫)の作家陣によるリレー小説企画。
参加者は順番に新井輝築地俊彦水城正太郎師走トオル田代裕彦吉田茄矢あざの耕平

 第一話は「ROOM NO.1301」第二話は「まぶらほ」のキャラによるお話で無難なスタートをきった本編。
ところが、第三話担当の水城正太郎がいきなりメタに走り、以降は各作者までもがキャラクタとして作中に取り込まれることとなる。
虚構と現実(作者)が入り乱れる展開はさながらライトノベル版「ウロボロス*1
暴走を始めた物語の中、師走トオルは被疑者となり、田代裕彦は世界を切り分け、美少女作家は迷走しながら進むべき道を見出す。
トリをつとめるはあざの耕平。無茶きわまる展開をよくぞまとめあげてくれました。天晴れ。
参加してる作家さんの作品を多く読んでいて、かつ富士ミスに愛着をもっていればいるほど、より楽しめる仕様。
まさに富士ミス偏愛家のための一品であるといえましょう。たいへん面白うございました。
レーベルそのものを茶化すようなネタを書かせて、しかもそれを出版してしまう。そんな富士ミスのおおらかさがぼくは大好きです。


P.252(吉田茄矢・担当)より。「恥ずかしくないのか、はてなドジっ娘美少女作家とか書かれおって」「心の傷に触れたな!」
 ごめん、茄矢たんの項にそれ書いたのワタシw


(12/13 追記) ↑の書誌データ、著者欄にあざの先生の名前だけ無いことに今気づいてしまった。
無理矢理参加させられ、トリをおしつけられたあげく、この仕打ち。
これが富士ミスを棄てファンタジアへ旅立った者への制裁なのか。なんて極悪非道なレーベル!w

*1:竹本健治ウロボロス」シリーズのこと。作中に実在のミステリ作家が大挙登場する。