谷原秋桜子「天使が開けた密室」 (創元推理文庫)

理不尽に背負わされた借金のため深夜のバイトをすることになった美波は殺人事件に巻き込まれることに!?
 2001年に富士見ミステリー文庫から刊行された作品が東京創元社から復刊。
折角なので未読の短編だけでなく「天使が開けた密室」も改めて再読。
話の筋とミステリ部分を頭に入れたうえで読むと、伏線の張り方は丁寧だし、実に上手く作られてるのがよくわかる。
元々ある意味では”富士ミスらしくない”端正で可愛らしい青春ミステリであったこともあって、創元推理文庫として読んでもさほど違和感がないなと思ったり。
これを機にミステリ方面の人に再評価してもらえると嬉しいな。読み逃がしていたライトノベル方面の人もぜひ。ビターテイストを薄めてハートフルにした米澤穂信という感じでオススメです。
文庫初収録の短編「たった、二十九分の誘拐」も面白かった。

天使が開けた密室 (創元推理文庫)

天使が開けた密室 (創元推理文庫)


富士ミス版レビュー:「もえたん 萌える探偵小説」第7回