機本伸司 「神様のパズル」 (ハルキ文庫)

天才少女と落ちこぼれ大学生が物理学ゼミでやることになったのは、宇宙の作り方!? 小松左京賞第3回受賞作。
 量子物理学だとか既存の宇宙論だとかの概念がさっぱり理解できておらず、
肝心の創世宇宙のあれやこれやも結局何がしたいのかよくわからなかった《ハードSFには向かない読み手》なアタクシですが、
宇宙や物理学と向き合うことで自分自身を見つめ直す青春小説として面白かったので、そこを評価。
天才ゆえの懊悩と周囲との摩擦に苦しんできた少女が最後に辿りついた場所。
綿さんが締めに語る《保障論》がすっと腑に落ちる。
大波を乗り越えたのは勿論ヒロインの方なのだけど、それを見守ることで主人公もモラトリアムから大人へと階段を一つ登ったのね。
これであとラブコメ的な魅力があればなお良かったのに。つかず離れずの関係が何だかもどかしいぞ、このー。

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)