三浦良 「覇者の魔剣 抗いし者たちの系譜」 (富士見ファンタジア文庫)

皇帝サラ・シャンカーラの元に届いた魔剣出土の報。
魔物を殺す力を秘めたその剣をサラは謀臣や諸侯への揺さぶりに利用しようと画策する…。
 魔剣が登場したからといってそれを巡っての戦いが始まるわけでなし、
あくまで策謀のための駆け引き、エサの1つとして扱ってしまうあたりの物語の方向性が素晴らしい。
魔剣の持つ力に踊らされ大局を見失った愚か者。それを補佐する立場にいた謀臣の嘆きと血を吐くような決断。
サラが見せた非情な部分とハイエルの咆哮にゾクゾクさせられました。
それに比べてラジャス様はのん気で微笑ましいですなあ。
そして、最後…。ああ、もう、なんて引き方をしてくれやがるんだ!
 あらすじ読むだけでこんなにワクワクする作品なんてそうないし、高ぶる期待感を十二分に満足させてくれるこの書きっぷり。最高です。
リッパーさんの選ぶ2006年ライトノベルのベストはこの「抗いし者たちの系譜」シリーズで文句無し決定。
サラ・シャンカーラの生き様を見よ!


シリーズ感想:
「逆襲の魔王」
「虚構の勇者」