西澤保彦 「ソフトタッチ・オペレーション 神麻嗣子の超能力事件簿」 (講談社ノベルス)

 超能力絡みの事件を描いた《チョーモンイン》シリーズ8冊目。
ホラー風味の「闇からの声」。
イヤさ全開の真相がたまらない「捕食」。
「変奏曲<白い密室>」はこのシリーズらしいクオリティの密室ミステリで善き哉。
「無為侵入」は少ない情報から可能性をあれやこれやとあげつらう部分がいかにも西澤節。
そして、なんといっても面白かったのが表題作でもある「ソフトタッチ・オペレーション」。
居酒屋で飲んでいたはずが気がつくと見知らぬ部屋にいて、外に出られない密室状態、しかも美女2人が一緒!?
後半の畳み掛けるような展開も、事件の真相も、そしてなによりストッキングやタイツに覆われた女性の脚に興奮してしまう美脚フェチの主人公が素晴らしく面白かった。
超能力+駄目人間+ユーモアミステリ風味が『瞬間移動死体』を彷彿とさせますね。
西澤先生、こういう脳天気なミステリがもっと読みたいです。
短編というよりは中編くらいの分量だったので、これならもうちょっと話をふくらませて《チョーモンイン》久々の長編に仕立ててくれてもよかったのになあ。
能解さんとか出番ないのがちょっと寂しい。

 あとがきで書かれた宇山さんの思い出話にはしんみり。ぼくら読み手以上に書き手の皆さんにとって大きな存在だったんだろうな…。

ソフトタッチ・オペレーション (講談社ノベルス)

ソフトタッチ・オペレーション (講談社ノベルス)