島田荘司 「ネジ式ザゼツキー」 (講談社文庫)

御手洗を訪れた記憶障害の男。
彼の書いた奇妙なファンタジー「タンジール蜜柑共和国への帰還」と題された物語に、その男の失われた人生の断片が秘められている!?
 しまそー読むのはこれにて3つ目。
この前、とあるミステリ仲間と飲んだときに島田荘司は「透明人間の納屋」と「ロシア幽霊軍艦事件」しか読んだことないのよねーえへと言ったら、
なんで読んでないんだコノヤロウむしろアンタが全集買えよと皆に怒られたのですが、
確かにミステリ好きなら普通読んで然るべきよなあという佳作でありました。
前半はやや退屈、200ページくらいまではあくびをかみ殺しながらの読書も、作中童話の読み解きが始まってから一気に目が覚める。
これは科学的な根拠に基づいたファンタジーなんだ! 童話を構成するガジェットの1つ1つから新たに見出せるもの。
エゴンが関わっていたであろう過去の出来事が次々に明らかになっていく展開が面白くて、ページをめくる手の止まらないこと止まらないこと。
中盤があまりにも面白かったので、第三部にあたるネジ式死体の謎に関しては何だか蛇足気味な気がしたりしなかったりなのだけど(本格ミステリ好きにあるまじき感想w)、
読み応え満点の力作でありましたよ。島荘スゲー。


感想:
「ロシア幽霊軍艦事件」

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)