貴子潤一郎 「煉獄のエスクード ARCHIVES だけど綺麗なものは天国には行けない」 (富士見ファンタジア文庫)

「煉エス」短編集の1冊目。薫の修行時代(レイニーに師事していた頃)の活躍を描いた3編+番外編2つ収録。
 表題作もまあまあだけど、お気に入りは「美女と野獣」かな。
もうちょっと作りこんでサスペンス・タッチの長編にしてくれてもいいのに。
作中に漂わせてる妖艶っつーか淫靡な空気がよござんした。
「鏡の国のクラウディア一門」は長編とは異質のライトな雰囲気がいかにも富士見形式な感じ。
ま、あたしゃクラウディアさん好きなので、こういうのもありだと思います。ローティーンなクラウディア嬢がきゃわゆい!
そして、”古きよき”メジャーリーグ・ベースボールへの憧憬を足がかりに50年代のニューヨークを描いてみせた「本日快晴」は雰囲気だけなら最高の一品。
ファンタジア文庫のみにおさまるには惜しい作家だよなあ…との思いもさらに高まる。