米澤穂信 「ボトルネック」 (新潮社)

好きだった子の弔いのために訪れた東尋坊で足をすべらせたリョウは平行世界へと落ち込む。
そこはリョウの世界では生まれてこなかった姉・サキがいる世界だった…。
 い、痛い! 痛いよ、穂信タン。
生きるのが不器用な者が誰しも一度は思うこと。それを冷徹に残酷なまでに突きつけてくるストーリー。
ヒロインのキャラクタのおかげで全体の雰囲気がだいぶ救われている感じはあるのだけど、それ故になおさら諦観と失望に満ち満ちたラストが心に突き刺さってくるような…。
真綿で首をしめられるような青春を描いた佳作……といったところ。
それと、終盤の展開に「そうか、この作品もこれまでの米澤作品同様、”探偵の挫折*1”を描いた青春ミステリだったのね」と納得しました。


ボトルネック

ボトルネック

*1:あるいは敗北