ポール・アルテ 「赤髭王の呪い」 (ハヤカワ・ミステリ)

アルテの邦訳5作目。
フランスのアルザス・ロレーヌを舞台に少女の死の謎を描いた「赤髭王の呪い」 他、短編3つを収録。
 今回も準・古典(カー風味)な事件の雰囲気と謎解きの妙が堪能できる一品。
「赤髭王の呪い」のエヴァミュラー殺しの解決になるほどと膝を打つ。舞台背景と動機付けの絡め方がうまいなあ。
短編群の中では「ローレライの呼び声」が好みかな。
しかし、《ツイスト博士》シリーズもこれで4冊目になるのに、博士、相変わらずの地味キャラっぷりで謎解き以外の存在感が薄いこと薄いこと。
短編群を読んでる最中など、もしこの話の探偵役がヴィクトリカ*1
だったら5割増しくらいで面白くなるだろうに…などと思ってしまいましたとさ。

赤髯王の呪い (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1790)

赤髯王の呪い (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1790)

*1:桜庭一樹GOSICK」の名探偵。ポール・アルテがフランスのディクスン・カーなら「GOSICK」はラノベ・ミステリ界のディクスン・カーであろう。