岩田洋季 「月の盾」 (電撃文庫)

神に愛されたかのような絵画の才能と暗く悲しい業を背負わされた少女、国崎桜花のヒカリと闇との物語。
 キャラ萌えやラブコメといった手法に頼らずに、一人の少女の数奇な運命を真っ向から描ききった、いわば”ライトノベル文学”な一品。
彼ら彼女らを襲う厳しく理不尽な悲しみと苦痛。そして、そこからの再生…。
ヒロインの桜花が辿る心の軌跡が、切なく、優しく、静かに胸を打つ。
正直に言おう! 読んでて2回涙ぐんじゃったよ。
桜花が初めて誰かのために描いた絵のくだりなんて、電車の中で読んでて、あやうく人前で涙腺決壊するところでした。
ヒロインを見守る主人公の視線にこめられた優しさ、亡き妹への想いにもしみじみ…。
感動作。