藤村脩 「黒き河を往け」 (ジグザグノベルズ)

19世紀末のロンドンを舞台に術式と呼ばれる異能の力をもった私立探偵の活躍を描いたファンタジック・ミステリー。
シャーロキアンな舞台設定や魔法ありの探偵ストーリーがなんとなく創刊初期の富士見ミステリー文庫を思わせる。
富士ミス大賞あたりからデビューしても何の違和感もなさそう。
ライトノベル系ミステリーとしては、切り裂きジャックをモチーフにした「Case2 フィンガー・コレクター」に注目。
被害者をつなぐミッシングリンクの書き方とかサスペンス要素をもうちょっとうまいことやってればぐぐっと面白くなりそうなんだけど、惜しい出来でした。
収録された3話の中では「Case3 機関の女王」が読後感が良くてお気に入り。
主人公コンビのラウディとシルーズは年齢構成的に「SHI-NO」とほとんど変わりないのに、こちらはちっとも萌え心をくすぐられたりしないのが今作の最大の弱点と見たw。