月見草平 「桜乃きらほの魔法医カルテ」 (MF文庫J)

デビュー作「魔法鍵師カルナの冒険」シリーズを無事完結させた作者の新作はオカルトな病を治療する”魔法医”なお話。
アストラル体における症状が肉体に影響を及ぼすという理屈で下支えされたオカルト医学の設定がなかなかに興味を惹く一品。
特にカルテ1に出てくる、マスタークロックに同期不全症、オレーム効果、あたりはハッタリがきいていて面白い。
例えば難病ヒロインとかサナトリウムとかは物語素材としてよく使われるのだけど、今作のように病そのものの仕組みや治療する側に視点を置いて描く”医療系”ライトノベルって今まであまりなかった気がするので、そのへんちょっと注目していきたいところ。
過去の傷をしっかりと受け止め、前を向いて歩み始めたきらほ。
魔法医師として何かしらの忸怩たる思いを抱えているらしい朝永。
この作者の誠実で堅実なキャラクタ作りは読んでてホッとするなあ…。
あと、ヒロインの頼みごとに「報酬はからだで払ってもらう」と言いながら、実のところは「うちで働いてもらう」な導入はライトノベルに限らずよくあるのだけど、
たまにはホントにエッチしちゃってから始まる話があってもいいのになあと、きらほの「……でも、できればやさしくね」の台詞にふと思ったリッパーさんなのでした*1


感想:
「魔法鍵師カルナの冒険」(全4冊)

*1:ジュブナイルポルノの読みすぎとか言っちゃいやいやーん