三浦良 「虚構の勇者 抗いし者たちの系譜」 (富士見ファンタジア文庫)

人と魔物の統一帝国を舞台に繰り広げられる謀略と秘めたる愛の物語。シリーズ2作目。
1作目のような凝縮された怒涛の展開や熱いドラマはややなりを潜めてしまったものの、
表向き皇帝に従いつつも牙を磨ぎ続ける謀臣連中を含め、いろいろな思惑を秘めたキャラクタたちが織り成す群像絵巻な面白さは健在。
新キャラも良いよ良いよー。
スキピオの補佐役として新たに登場したティアカバンは物語に花を添えてくれてるし、それになんといってもウィチィロポチトリ様ですよ! ウィチィロポチトリ様っ!
カラー口絵でのお美しい姿に惚れ惚れしちゃうですよ。このなりでラジャスやグレンデルに続く上位の魔物だというのがまた超素晴らしい。
なんでティアと兄妹の契りを結んでいるのか気になるなあ。
 「かつての勇者は魔王になった。魔王と勇者は対のもの。ならば空白になったその座が、今の魔王に対する今の勇者がいるはずだ」
 例えどれほど否定しようとも、サラが統一皇帝で魔王である限り、彼女の打倒を目指す者が現れるのは決して逃れえぬ運命。
今作で示された勇者なる存在が今後の物語でどう扱われるのか、すげえ楽しみだなあ。
「逆襲の魔王」以前の、魔王として大陸制覇に乗り出したサラやグレンデルたちの話もダイジェストなんかじゃなくきっちりとした物語としていずれ読んでみたいし、一大シリーズとして続いてくれることを切に切に願うよ。
ホント頼むから、人気出てくれー。


感想:
「逆襲の魔王」