「侵略する少女と嘘の庭」 清水マリコ (MF文庫J)

些細な嘘をきっかけにちょっと意地悪な少女・中山りあと関わることになってしまった牧生。
幼なじみ4人組の間に入り込み、様々な波紋を投げかける”りあ”に戸惑うが…。
「嘘つきは妹にしておく」「君の嘘、伝説の君」に続く”嘘シリーズ”の3作目。
「君嘘」と今作との間に出た「ゼロヨン」や「ネペンテス」も勿論良い作品なのだけど、”嘘”のタイトルはやっぱり格別なものがあるなあ。
異性を意識しながらもそれを表に出すのは気恥ずかしい。
他人から向けられる悪意に傷つき、また別の誰かを傷つけて。
自分を守るためについた嘘。攻撃的な態度の裏に隠されたもの。
成長途上にある少年少女たち、それぞれが抱える想いや悩みが切り取られた情景の中に浮かびあがり、穏やかな余韻を残して閉じていく。
微笑ましくて、すこし切なくて、優しさと喪失感の合わさった雰囲気がなにより素晴らしい。そんな傑作。


感想:「嘘つきは妹にしておく」
「君の嘘、伝説の君」
「ゼロヨンイチロク」
「ネペンテス」
「ゼロヨンイチナナ」
「あなたに胸いっぱい」