「逆襲の魔王 抗いし者たちの系譜」 三浦良 (富士見ファンタジア文庫)

第17回ファンタジア長編小説大賞(審査委員賞)受賞作。
元・勇者にして現・魔王、そして人と魔物の統一帝国の初代皇帝となったサラに、元・魔王のラジャスが復讐を誓う…。運命に抗いし者たちの謀略と愛の物語。
 「ファンタジア バトルロイヤル」に掲載されていた短篇「屈辱の勇者」がなかなか見所ありだったので本編を購入&読了。
サラとラジャスの邂逅と復讐を物語の軸に、自らの誇りと信念に殉じるキャラクタたちが織り成す群像絵巻が熱くて面白いっ! 主人公格の2人の生き様がやたら恰好良く、側近のスキピオやグレンデルが脇を固めてドラマを盛り上げる。
田中芳樹作品を彷彿とさせる知略を主体にした攻防の数々も良いよ良いよー。
展開が早過ぎて語り足りてない感もなくはないんだけど、枝葉をばっさり切り捨てたことでお話がぎゅぎゅっと凝縮されてまとまっているという面もあるので、これはこれでOK。これだけの話を語りきって文庫260ページなんてびっくりだ。
個人的にはとても気にいったので、この作者の書くファンタジーには期待大。人気出てくれるといいなあ。
それと、本編気にいった方は、勇者として魔大陸へ向かうサラを描いた短篇「屈辱の勇者」も是非。

抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)

抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)