「パラドックス学園 開かれた密室」 鯨統一郎 （カッパノベルス）

鯨の新刊読むのは「タイムスリップ釈迦如来」以来か。
書くものすべてが怪作か駄作の二者択一（「邪馬台国はどこですか？」のみ例外）、ネタミス界のトップランナーこと鯨統一郎。
今回は……えー、まったくもって鯨らしい怪作ミステリといったところ。
ポーにドイル、アガサにルブラン、そしてカーが一介の大学生として集うパラレル世界。
推理小説が存在しない、推理小説のような事件が実際に発生してしまう逆説的な世界で起きた究極の密室殺人の真相とは…？
　バカバカしいだけの設定、小説としては面白さのかけらもない超駄作なんだけど、「ミステリアス学園」の直系ってことで想定される期待感をみじんも裏切らない驚愕の密室トリックには脱帽。
あーあ、まんまと鯨の仕掛けた罠にひっかかっちゃったよーｗ。
「ミステリアス学園」を間違って読んじゃったことがある人なら一読の価値ありかも？
　ミステリを形作った巨匠たちをパロった作品として楽しむのも有りっちゃ有りか。
巻末の参考文献に「十角館の殺人」がはいってたらネタとして完璧だったのになあ。そこまでは思いつかなかったか、鯨。