「電波的な彼女 〜幸福ゲーム〜」 片山憲太郎 (スーパーダッシュ文庫)

周囲の学校で広まりはじめた無差別嫌がらせ。
その被害が雨の妹・墜花光にも及んだことを知り、ジュウは犯人探しに立ちあがることに。
”幸福潰し”を行うグループの目的、その意志は…。

電波的な彼女」シリーズ3作目。
光の思いきった行動に度肝を抜かれ、中盤のシチュエーションに萌え転がり。
雨と雪姫のヒロイン候補2名がいわゆる電波キャラなだけに、まともな神経をしたシリーズ中唯一の女の子といっても過言ではない光って結構魅力大なのよねえ。
そんな彼女にこんな形でスポットを浴びせてくるとは、やるな片山憲太郎
ジュウ君が光に対してはお兄さん的位置にいるので、恋愛フラグがたちそうでたたないあたりがまた、もどかしくって良いですな。
前の2作と比べると猟奇的な事件でもないし、わりとおとなしい話なのかと油断して読んでいたら、
終盤に陰惨な鬱話にしてくれちゃいましたよ。このラストにはやられた。
はみだし者ではあるけど内実は純朴で善人なジュウと、
肥大化したエゴイズムによって狂った世界に片足踏み込んだ犯人たちとの”対決”にこのシリーズの中心があるのかなあ。
青春小説系サイコ・サスペンスとしてシリーズを続けていくのってそんな簡単ではないと思うんだけど、作者よくやってるなと感心しますね。
あと、これは一時的なものだから、雨や雪姫たちはいずれ離れていくんだ、と自分に言い聞かせるジュウ君が凄くせつなくて愛しい。

既刊感想→http://www.big.or.jp/~pon/book/kata_ken.htm