「外道忍法帖」 山田風太郎 (河出文庫)

ローマ法王より下賜された金貨を追い、伊賀で修行していた天草忍者、由比正雪配下の甲賀忍者らが長崎の地に潜入した。
金貨の在処をしめす鈴をもち、大友忍法を身につけた切支丹の童貞女たちは、鈴を、自らの身を守れるのか。
三つ巴の死闘の行方は…!?

天草忍者が15人、甲賀者が15人、そして切支丹のお嬢さんが15人。
15 vs 15 vs 15 切支丹側にいるマリア天姫と爺を加えれば総勢47人の忍者たちのバトルロイヤル。
たくさんの忍者が入り乱れ、忍法は乱れ飛び、さながら忍バトルの見本市状態。いやー、面白いっ。
ただ、さすがにそれを1冊で書くとなると、個々のキャラクタを描くことには枚数をかけられなかったらしく、
2〜3の主要人物を除いて各手勢の忍者たちは出てきたそばからばっさばっさ死んでいく。
戦いを描くためだけのコマ扱いという感じで、キャラ萌えする余地が全然ないのが難点といえば難点かなあ。
さすがに「甲賀忍法帖」の面白さには及ばないんだけれど、ああいう多勢vs多勢の対決ものが好きな人なら楽しめそうな気がする。
伊賀忍法帖」や「信玄忍法帖」と比べるとエロス度が低めなのもオススメしやすいポイントかな。
あと、各章題の中でこれは嫌だーと思った”忍法「犬さかり」”が読む前の想像通りの忍法だったのが、いやーんいやーんいやいやー。
描写が淡白でよかった。