「リリアとトレイズ II そして二人は旅行へ行った(下)」 時雨沢恵一 (電撃文庫)

夏休みのバカンスのはずが陰謀劇に巻き込まれてしまったリリアとトレイズ
彼らの乗った飛行船に今また危機が…。

陰謀劇の種明かしの巻。
襲いかかる空軍戦闘機を相手に飛行船でどう生きのびるのか、
小芝居で相手の情報を引き出したり、不意の空中戦をしかけたりと大人を手玉にとるトレイズとリリアの機転が大変よろしい。
リリアがトレイズにわりと冷たかったりする理由がそんなところにあったのかーとか、
頼りになるところよりも寧ろ意外な欠点に好感度アップってなあたりは微笑ましかった。
大人になったヴィルの生き方に、いつまでも清廉潔白ではいられないのねという苦味があって、そのへんを描くために物語を次世代につなげたんだろうか。
でも、世の中の汚い部分は全部自分が引き受けるから好きな女の子にはできるだけ純真なままでいてもらいたい、
なんて男の子願望をトレイズも受け継いじゃってるのね。

前巻感想→http://d.hatena.ne.jp/kirisakineko/20050507#p1