「赤×ピンク」 桜庭一樹 (ファミ通文庫)

廃校になった学校の校舎に作られたファイトクラブ
女の子の闘い(キャットファイト)を見世物にするその場所に、夜な夜な集う彼女たち。
生きていくこと、たたかうことへの、想いは…。

こんなの感想書けねーよ(本音)。でも、なんとか書いてみる。

作者本人が”小説家・桜庭一樹の転換点”と位置付けている作品で、
後の作品につながっていくものが、確かにここにある。
思春期の女の子のふわふわした不安定な何かを、物語の生地に包んで、ミステリだとか逃避行という名のオーブンで焼き上げたケーキ菓子、
ただし「ドクいりキケン、食べたら死ぬで」という貼り紙がされてる、みたいなっ
…作品が「推定少女」と「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」だとするならば、
この「赤×ピンク」は新鮮なお魚を生でお届けっ…といった感じでしょうか。
”ファンタジーの中にある女の子のリアル”は素直に享受できるんだけど、これはちょっとナマモノ感覚が強くて、苦手かも。
3人の主人公の誰にも感情移入しずらくて、ただ彼女たちの姿や想いをぼうっと眺めているだけでした。
ということで、この作品そのものはそんなに楽しめなかったんだけども、桜庭一樹という作家の面白さは堪能できたといったところ。←これ、矛盾はしてないはず。