「タクティカル・ジャッジメント 3 いやがらせのリベンジ!」 師走トオル (富士見ミステリー文庫)

頭部にボウガンの矢が突き刺さった死体。犯行方法と思しき機械トリックが暴かれ、犯人も自白。状況証拠も物的証拠も十分。
ところが、その殺人事件の国選弁護に山鹿善行が乗り込んできて!?

裁判に乗り出してきた理由がただの私怨だったり、逆転無罪のためとはいえ物証を捏造したりと、
山鹿がイカサマとハッタリの悪党弁護士ぶりを遺憾なく発揮。
結果的には事件の真相を明らかにして事態をおさめるところにおさまらせているから、それも有りかとは納得させられちゃうんだけど、
法廷ミステリの主人公としては結構ダーティーなやっちゃなあと感心するやら呆れるやら。
裁判の前半部分はテンポも論戦の切れ味も悪くて、3作目にして出来が落ちたか…とちょっと心配していたものの、
伏線を回収し事件のすべてに一気にかたをつける最後の展開が熱い。
いやー、これは爽快。山鹿の怒涛の切り裁きっぷりが面白かったー。
機械トリックやダイイングメッセージを扱っていることもあって、1・2巻よりも”本格ミステリ”っぽい作品になってるのもポイント。

既刊感想→http://www.big.or.jp/~pon/book/shiwasu.htm