「ぼくたちには野菜が足りない 畑に関するLesson1 それ絶対植えてみよう!」 淺沼広太 (スーパーダッシュ文庫)

熱血”農業”バカの上原一馬のもとに宇宙人の女の子がやって来た。
野菜の勉強をしに地球にやって来たのだという。
幼なじみの一馬のことを憎からず思っている三谷みのりは、宇宙人の少女・コペルと一馬の仲を気にしつつも、コペルの面倒をみる羽目に…。

農業限定の特殊能力、その名も”超農力”という設定をベースに、学園+異星人ラブコメを展開させた賑やかな作品。
序盤から楽しい。特に最初の頃の一馬くんとコペルの会話のズレっぷりが笑える。
流行り歌の歌詞を切り貼りしまくって並べ立てたような台詞を紡いだあげく、結果何が言いたいのかさっぱりわからなくなってしまうというコペルの台詞は面白過ぎですよ。
「はずかしいけどこうしないと……わからないのです! あなたがわたしの運命の歯車の上で狂おしげに踊るピエロのような人なのかどうかがっ!」
…いやあ、味わい深いですね。
キャラクタも面白いのが揃ってるし、会話がテンポよくていい感じにバカなのが非常にわたし好み。お気に入りは羽根トマトざんす。被虐っぷりがかわいい。
全体的にはいい作品だとは思うのだけど、ただ、学園もので異星人で三角関係ラブコメで農業で変身でバトルもやっちゃおー、というのはちょっと欲張りすぎだったかなーという印象。
バトルとか一馬の秘められた力…なんて話はわりとどーでもいいので、
もっとこう、畑仕事を通して一馬とコペルの距離が縮まっていく部分を丁寧に描いて欲しかった気がする。