「BAD×BUDDY 12月の銃と少女」 吉田茄矢 (富士見ミステリー文庫)

上司に逆恨みされ、ニューヨークからアトランタに左遷されてしまった若き刑事ホンダ・ヒロユキ(日系)。
到着早々、爆弾魔の少女の復讐に巻き込まれてしまう。相棒は軍人上がりの17歳の少年!? 第4回富士見ヤングミステリー大賞の最終選考作。

うわーい、これ面白ーい。良作、良作〜♪
 女性に降りまわされたり、下卑た同僚とそりが合わなかったり、真面目に仕事に取り組もうとするがゆえに貧乏籤をひかされたり、
相棒の少年やワガママな爆弾娘までつい大人として助けてやったり…。直情型で何気に熱血漢の主人公が実に愛すべきキャラクタとして描かれてる。
ホンダがウォルターやヴィスコ相手に悪態つきあってるところなんか微笑ましくて和むなあ。
やたらたくましい女性陣にたじたじになってるところもかわいい。
語り口は軽快で読みやすいし、テンポの良い会話の応酬もいい感じ。
コミカルな展開を見せる部分も多いのだけど、描かれる事件自体は爆弾の出所とか殺人の真相を追いかけるもので結構シビア。
捜査が進展し、見えてくる事件の背景。関係者の想い。そういったものを受け止めながらホンダはどういう風に動いていくのか。
それと、相棒であるウォルターとの信頼関係は…ってなあたりも刑事ドラマとしての面白さにつながってる。
そして、訪れる……ほろ苦い結末。その描き方がまたいいんだ。中盤でのやり取りが効果的にいかされてて上手いなあと感心。

今年の富士ミス新人の中では(たぶん)一番の出来。今年デビューの新人さんの中でも有望株な一人として期待したい。オススメです。