「ちーちゃんは悠久の向こう」 日日日 (新風舎文庫)

幽霊好きの幼なじみ・ちーちゃんに振り回されながらも、”僕”の平穏な日常はいつまでも続くはずだった…。
第4回「新風舎文庫大賞」受賞作。作者の日日日は新人賞5冠、86年生まれの現在18歳。

落ち着いた語り口の青春小説系ホラー。良作。
表面の穏やかさと内実の切迫感の対比が重苦しい。
主人公にとってちーちゃんは救いだったのだろうし、なのに何でこんなことになってしまうのだろう。すれ違ってしまったのだろう。
どこかに救われる道があったように思えて、でもそれは通り過ぎてから、取り返しがつかなくなってから、選択肢を誤っていたことに気付く…。
扱われている題材が1つ共通していることもあって、読書感は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と似ている。
あるいは、ファウスト系…佐藤友哉あたりの作品と「砂糖菓子〜」を結んだその中間点くらいに位置してるのかなあ。
終盤はいい意味でこちらの予想を大きく裏切ってくれる展開。
身構えてたのとは全然別の方向に飛んでいっちゃって、一瞬唖然としちまいましたよ。
なるほど、これはただの新人じゃあないなあ。他の新人賞受賞作品も楽しみにしよう。