「貴婦人として死す」 カーター・ディクスン (ハヤカワ文庫HM)

崖の道に続く二組の足跡。不倫の男女は身投げをしたのか!? ところが、発見された死体には…。

「白い僧院の殺人」の系譜にあたる”足跡の謎”が扱われているミステリ。
ごてごてした装飾性もなく話自体はわりとシンプル。中期以降のディクスン名義作品にしてはドタバタも控え目…かなあ?。
ヘンリー・メルヴェール卿ってば、いきなり***で**しながら登場してきて、*と***を繰り広げてるんですぜ。
あたくし笑いをこらえきれずに噴き出しちまいましたよ。なんて傍迷惑なじいさんなんだ。もっとやってくれw。
”足跡の謎”に関しては、明かされてみると”なーんだ”というオチなのだけど、伏線の張り方や書き方の上手さはさすが匠の技。
他にも、いくつもの意図が錯綜し偶然が重なることで事件が込み入ったものになってしまうとか、
語り手である老医師の立ち位置を利用した構成の妙とか、評価ポイント多し。
カー好きの中でも特に評判が高い作品の1つというのも納得。

現在は版元品切れで入手困難とのこと。惜しいなあ。再版決まったらオススメしていきたい作品。
復刊の順番はいつ回ってくるんだろ?