「カラっぽの僕に、君はうたう。 フォルマント・ブルー」 木ノ歌詠 (富士見ミステリー文庫)

18歳の誕生日に死ぬという病におかされている主人公。
音楽を心の慰めにしながらも虚無的な日々を過ごす中、廃棄物処理場で自らを”人型の電子楽器”と称する少女を拾う…。
第4回富士見ヤングミステリー大賞<佳作>受賞作。

物語の中で音楽が大きなウエイトをしめているところ、主人公の死の病、ヒロインの伽音の過去等々、
作者が描こうとしているビジョンはなかなか魅力的。
なのに、発想の良さをいかすための構成力と描写力が全然足りてない。
語り口に面白味がないし、キャラクタの描き方も微妙だし、話の展開はちぐはぐ。
とにかく小説技術の未熟さが目についてしまうというのが正直なところ。ああ、惜しい。
あと、ラストの展開は安易すぎてお気にめしませぬ。もうちょっと残酷なものにしてくれても良かった。最後に伽音のモノローグでしめてくれたら綺麗だったろうになあ…。え、シリーズ続編? そんなの伽音たん主役にすればいいでしょ。