「空の中」 有川浩 (メディアワークス)

高度20000mに潜むもの。二度の航空機事故を機に、人類は”それ”に邂逅する…。

少年少女の視点ではジュブナイル的なお話の良さがあって、
自衛隊サイドの話は未知の生物とのファーストコンタクト話とラブコメが楽しめる。
いろんな面白さが作品内につまってて、それがとてもバランスよくまとまっているという印象。
お話の中核を担うキャラはみんな好感持てる。脇役の研究者さんや制服組までもがいい味だしてます。
それになんといっても宮じい。ある意味陰の主役と言っていいほどの味わい深さがありました。
方言がもつ素朴さがとても効果的に使われてて、素晴らしいですよ。
わたしのお気に入りは武田三尉。ラブコメ的なやり取りが出てくるたびに頬が緩んでしまいました。萌えー。

間違ったことをしたときにどうするのか。子供たちを見守る視線は暖かくて優しくて、少しだけ厳しい。
ジュブナイルとしても良作なんで、SFの部分がすこーし難しいかもしれないけど小学生の読書感想文の課題本とかにすればいいんじゃないかと思ったりして。
派手さあまりはないけどファーストコンタクトSFとしてもかなりの面白さ。
良作…、いや傑作です。傑作。

ライトノベル好きにも、ラブコメ好きにも、ジュブナイルSF好きな方にもオススメ。
絵が無いとかハードカバーで値段高いとかで躊躇してるのは勿体無いですよー。