「武蔵忍法旅 忍法帖短篇全集8」 山田風太郎 (ちくま文庫)

短篇6作+エッセイ1作収録。編集・解題:日下三蔵、解説:霜月蒼。

・「武蔵忍法旅」…佐々木小次郎との宿命の対決へと向かう宮本武蔵と、旅を阻止せんとする伊賀者の話。
武蔵と小次郎を忍法帖の世界で描くとこうなるのか!と感心する面白さ。
ああ、そうか。そういうのをマンガでやったのが「修羅の刻」なのか。

・「おちゃちゃ忍法腹」…「忍法破倭兵状」の別バージョン。鴻天忠の暗殺法が凄い。

・「刑部忍法陣」…大坂の陣目前の豊臣勢力の動向を描いた話。猿飛佐助が登場する。

・「近衛忍法暦」…最後に立ち現れる某人物の憎悪がかなり怖い。

・「彦左衛門忍法盥」…皮肉がきいてる。

・「ガリヴァー忍法島」…江戸へ向かうオランダ人一行の中に傍若無人なふるまいをする紅毛人がいて…。
途中まではかなり面白いんだけど、忍法に関しては手抜き感が漂っていて、決戦に到ってはぐだぐだな展開なのが残念。
忍法帖短篇の中でもかなり風変わりなお話。