「忍法関ヶ原 忍法帖短篇全集7」 山田風太郎 (ちくま文庫)

短篇4作+エッセイ1作収録。編集・解題:日下三蔵、解説:笹川吉晴

・「忍法関ヶ原」…大坂の陣前に鉄砲鍛治の村を抱きこみたい徳川家康の命により、伊賀者が村の有力者四人を篭絡せんとする話。
忍者たちが曲者たちの性欲に翻弄されてしまうのが哀れ。最後も伊賀者には無茶苦茶ひどいオチ。

・「忍法天草灘」…誘惑しキリシタンを堕落させようとする忍者の話。
あの手この手のシチュエーションで罠にかけようとする伊賀者の美男子と甲賀者のくノ一を相手に、キリシタンたちはデウスへの信仰を貫けるのか?
信仰VS忍法という図式。最後に引用された「懺悔録」って実際の古文献なのかなあ。すげえや。

・「忍法甲州路」…眠りの術を操る忍者と刺客(剣術者)の戦いを描いた話。
眠りの忍法VS半睡浮遊剣といった必殺技対決が熱い。面白い。

・「忍法小塚ッ原」…首をすげかえて生き返らせるという忍法実験の顛末を描いた話。
長編「伊賀忍法帖」の漁火の設定で、陰部のすげかえで性転換を行った「転の忍法帖」のような話を転がしてみたという感じ。
頭と胴体のどちらに人格の主導権はあるのか? 念力で胴体が頭を支配することができるのか?
いれかわった後に被験者が迎える運命とは? という思考実験が楽しめる。
実験がエスカレートしてわけわからなくなってくる後半部分はバカ笑い。