「アルファベット・パズラーズ」 大山誠一郎 (東京創元社)

ミステリ・フロンティア第九回配本。
翻訳家、精神科医、刑事、マンション管理人さんの4人が事件の謎を解く連作短編ミステリ。

「Pの妄想」…女主人が被害妄想におちいったような様子を見せていたのは一体なぜなのか?というロジックと物理トリックの合わせ技がお見事。
探偵役が”不合理で不徹底だ”と指摘したポイントであっと言わせられました。

「Fの告発」…通報がなぜその時間になったのか?という点に感心。

「Yの誘拐」…こ、これは素晴らしいっ! 超傑作っ! んもう、誘拐ものでこれだけ鮮やかに事件の様相を反転させられるなんて凄すぎるですよう。
真相解明における論理の飛躍には読んでて震えがきました。

お話としての面白さを加味せずにトリックやロジック・結末の意外性だけで評価するならば、今年わたしが読んだ中では最高傑作級。
「Pの妄想」くらいの短編がもう1つ2つあれば、ぶっちぎりで年間ベストだったかも。