「聖フランシスコ・ザビエルの首」 柳広司 (講談社ノベルス)

ザビエルの首に導かれるように、主人公の意識は過去の世界へと飛ばされてしまう。
ザビエルが遭遇した殺人事件の真相は…!?

主人公が現代人の知識や観察眼を生かして、
当時の人々には不可能殺人や自殺あるいは神の奇跡(天罰)のようにしか思われない殺人事件の真相を推理・指摘していくという形のミステリ。
本格ミステリとしては小粒かなあ。
事件はザビエルの生きてた時代の話になるため、時代小説的な雰囲気もあり。カトリックと他の宗教の観念的対立もあったりする。ザビエルについての描写は薄め。もうちょっとキャラを立ててもよかったんじゃなかろうか。
第三章まではどこか飄々とした語り口で進み、四章で雰囲気が一変。
陰惨な悲劇が描写され、主人公自身の過去とザビエルの事件が交錯していく展開で、読んでて結構ゾクゾクきた。
シュールで変な話だという印象が強いんだけど、読了する頃には何となくいろいろ納得させられちゃったようという感じ。
まあまあ面白かったかなと。