「GOSICK III -青い薔薇の下で-」 桜庭一樹 (富士見ミステリー文庫)

風邪をひいてしまったヴィクトリカを学園に残し、九城一弥は首都ソヴレムへと買い物に出掛けた。
大戦時に盗まれた宝物。街を騒がす”消えてしまった人たち”の噂。陰から見つめ続ける少年。助けを求める少女の怯えた瞳。一弥は闇に蠢く犯罪を暴き出すことができるのか。

毎回書いてることなれど、飽きもせず今回も書かせていただきます。
武田日向氏の仕事ぶりが最高。…いや最強。
表紙絵からして、微熱ほっぺのヴィクトリカにパジャマのひらひらに天蓋ベッドに室内の様子、と、
他のライトノベル表紙の追随をまったく許さない描き込みぶり。
カラー口絵では和装なヴィクトリカが鎮座しているし、p59の挿絵はぷに萌えだし、なんかもう凄いです。
作者も風邪ひきヴィクトリカをなにか小動物っぽい別の生き物のように描写してくれるので、
うあーかわいらしなー微笑ましいなーという感想以外には何もないざんす。「ぐじゃ」ってなにー。「ぐじゃ」ってー。

今回の謎解き要素は本格ミステリというよりは広義のミステリー。
ホラー小説的な描写や都市伝説を作中に取り入れたような構成で謎を引っ張って、最後は警察の捜査とヴィクトリカの謎解きで事件解決という流れ。
全体的な構図は見え見えなんだけど、”悪魔”の正体には思わず膝をうちました。そこまで考えてなかったー。
グレヴィール刑事の変な髪型の理由や背景が明かされたり、セシル先生の出番が多めでキャラが立ってきたー等々、
シリーズとしての面白さも出てきた感じ。
あとがきによると、次も長編? 短編集はまだなのかー(一弥とヴィクトリカが出会った話が収録されるはず)。

あと、作中全然ふれられてないけど、囚われてた少女にアナスタシアの名前をつけてるのは何らかの意図があるんですかのう。
たんに裏設定のほのめかしなのか、今後の伏線なのか…。