「硝子のハンマー」 貴志祐介 (角川書店)

各種の警備システムで完全防備された部屋にて会社社長が撲殺された。介護サル、介護ロボット、警備システムの回避方法…。
犯人は誰? そのトリックは?

貴志祐介は初読み。
第一部の密室状況下の推理とトリックの検証の積み重ねはとても楽しい。
いくつも用意された仮説の中には捨てネタにしておくのは惜しいくらいのものもあるし、そのへんは本格ミステリとして文句無しの面白さ。
特に、青砥弁護士の介護ロボットを使った推理が素晴らしい。これはビックリだ。
他に第1部終了間際に開陳される推理は、真相よりも寧ろ説得力が高いんじゃないかなあと思いました。
で、肝心のメイントリックは…、えー実は介護ロボットの機能が解説された時点でわかっちゃいましたー、あははー。
だって、このトリック、原理的には某作品の某トリックと同じなんだもん。
もちろん、ディティールに凝って説得力は桁違いのものになってはいるんだけど、某作品を読んでる人ならピンときてもおかしかーない。
まさかアレの変形トリックか!?と思ったそれが正解でした。いやあ、面白いなあ。

第二部は転じて倒叙ミステリに。本格オタ的には第二部はわりとどうでもいい感じ。
まあ、物語としての厚みをますことで満足する読者も多いだろうし別にいいんじゃねーの、と投げやり評価。